賃貸経営の基礎知識

第27回 入口と出口にご用心!~サブリース契約 (2)借地借家法編

米澤 章吾氏(米澤総合法律事務所)

入口と出口にご用心!~サブリース契約 (2)借地借家法編

入口と出口にご用心!~サブリース契約  (2)借地借家法編

前回、サブリース契約の入口の落とし穴についてお話いたしました。そこで書いたのは、契約書に調印すれば契約書の内容について契約当事者は全て認めたとみなされてしまう、ということでした。

では、契約書に書いていることさえ気をつければ良いのでしょうか。実はそうではない、というお話を今回したいと思います。

「借地借家法」という法律があることを皆さんご存知でしょうか。一言で言えば「借りている側の全面的な味方」な法律です。この法律は、建物を貸す場合、および、借りる側が建物を建てる目的で土地を貸す場合に適用されます。なので、例えば本を貸す場合や駐車場を貸す場合には適用されません。

ではこの法律、具体的にどういうことが書かれていると思いますか。

例えば、貸した側が契約期間中であろうともいつでも解約できる、という条項を契約書で設けたとします。しかし、この条項は法律的に何の効力ももちません。「無効です」と強制的に決めましょう、という条文があるのです。

では、こういう契約条項ならどうでしょうか。

「契約期間が終了したら、無条件で返さなくてはならない」と契約書に書いてあったとしましょう。普通の契約であれば契約期間が終わるわけですから、当然契約は終了するはずですよね?とすれば、借りたものは返さなくてはいけないのは当然なので、上記条項は何の問題もないように見えます。

現にこれがお金を貸す契約であれば(法律上「消費貸借契約」といいます)、平成29年3月31日に返す、という約束をしたら、その日までに無条件で返さなければいけません。当たり前です。

ところが建物を貸す契約では、この条項も法律的に無効とされてしまうのです。不思議ではないですか?でも。これも借地借家法にきちんと明記されているのです。

そのからくりは、こうです。

例えば、借地借家法では契約期間を定めた場合、

① 期間満了前1年前から6月前までの間に更新しない旨を告げる。

② 期間満了時に借りた側が返さない場合に異議を述べる。

③ 更新しないことにつき、正当な理由がある。

この3つの要件をみたさないと契約を終了させることができないのです。そして、この借地借家法には合わせて、

④ 上記に反し、且つそれが借りている側に不利な約束をしても、その約束は無効

という定めも明記しているのです。先ほど例示した2つの契約条項は、いずれもこの①~③と異なり、且つ借りている側にとってより解約されやすいという不利な約束のため、④により無効な条項となってしまうのです。

このように、借地借家法は恐ろしいほどに借りている側にとって有利に定められていることがわかると思います。

つまり、契約書の内容にかかわらず、この借地借家法が借りている側の有利に強制的に働く場面がある、ということを貸している側は熟知しておかないといけないのです。

あれ?サブリースの話はどうしたの?と思った方もおられるかと思います。もちろん、メインはサブリース契約のお話です。ではこの借地借家法の話がサブリース契約にどう関係していくのか、それが前回お話できなかった落とし穴になるわけです。

次のサブリース編最終回において、そのお話をしたいと思います。

土地活用・資産運用のことなら住友不動産にお任せください。