都市部は良好な環境が少なく、外部を遮蔽した生活になりがちである。この住宅は外部空間の魅力を引き出した都市型のフラッグシップモデルをめざした。プライバシーを確保し、外部へ開きながら生活可能な「オープンな都市型住宅」として提案した。 住宅の内部に様々な個性を持った外部空間を挿入していくことで、都市生活の中に、常に自然を感じることができる住環境を提供している。
都心部において、前面道路と建物の近さは避けて通れない。壁面の配置や居室に面する半外部空間が バッファーゾーンとなることで、「外からの視線」を気にせずに「外に視線を開く」ことを狙っている。
主要諸室(リビング・ダイニング・キッチン・主寝室など)を必ず2方向以上の外部空間(テラスやライトコート等)と接する形でプランニングを行っている。これにより主要諸室の2面採光や適切な風の抜け道を確保し、快適な住空間をめざしている。
庭やライトコートに照明計画を施し、室内同様の明るさを確保している。
それによりエクステリアをインテリアの延長として取り込み、視覚的広がりを持たせた空間の演出を狙っている。
ハウスメーカーとして、地域の特性に答えた新しい戸建住宅の提案である。日本でも有数な豪雪地区である新潟県長岡地区では、外部空間は一概に魅力的だとは言えない。
そこでガラスで囲われたバルコニーを設けることで、1年を通して利用可能な半屋外空間を供給し、季節を問わず住まい手のアクティビティを「最大限」許容できる空間づくりをめざしている。
雪の侵入を防ぐ可動ルーバー
インナーバルコニー(外気)
インナーバルコニー(室内)
マット植栽、パーティーシンク
吹抜
リビングピロティ
エントランスピロティ
夏期はバルコニー内のサッシを開け放つ事で、風の流れを確保し、日射熱をバルコニーで排気できるので冷房負荷を低減
冬期はバルコニー内のサッシを閉じる事で、外部からの日射熱を囲い込み、集熱効果のある温室の役割を果たす。
夏季や中間期には、外気との関係を持った場所が必要となる。
そこで1Fのリビングダイニングに面した大きなピロティを確保した。このピロティは、近隣とのコミュニティーの場となることはもちろん、吹き抜けを持ち、たくさんの光や風を抜くことができる。
冬季以外の季節には居室と一体となった使われ方が想定され、積雪対策だけではない外部とのかかわりを創っている。また屋根の吹き抜けに可動ルーバーを取り付けると、雪や日射の侵入を防ぐことができるので、より多様な環境調整を行うことができる。